掛軸

先週の休日、親戚のおばさんが、私の家に遊びにやってきました。

そのおばさんは60代後半の女性で、結婚は一度もしていません。

おばさんは40才の時に、趣味が高じて都内に掛軸買取のお店を出店しました。

おばさんの住むマンションには、愛猫のルルと、
お気に入りの掛軸が飾ってあり、とても優雅に暮らしています。

そのおばさんが、私の家に来た時に話した話ですが、
最近は掛軸が飾られている家が少ないわと悲しんでいました。

もちろん、私の家にも掛軸など飾っておりません。

おばさんが言うには、床の間がある和風建築の家が少なくなったからだそうです。

さらにおばさんは、「蔵や物置の奥に、埃まみれで長くしまいっぱなしにするなら、
私のお店のように、掛軸買取のお店に売りに来て欲しいわ」と言ってました。

母が、掛軸はいくらくらいで買い取ってもらえるの?
とおばさんに聞くと、

「画家や、保存状態によって買取価格が変わってくるから、いくらとは言えないわ」
と言っていましたが、
「有名画家の掛軸で、保存状態も良かったら、数百万以上でも買い取らせてもらうわよ」、
とも付足して言ってました。

一度、そんなすごい価格で買い取る掛軸を、
おばさんに見せてもらいたいなと、話を聞いていた私は思いました。

掛軸

私の実家の居間には、掛軸が昔から飾ってあります。

満開の桜が咲く枝に、一羽の小鳥がとまっている絵なのですが、
なんとなく子供の頃からよく弟と、「気持ち悪い絵だね」と言って、敬遠していた掛軸です。

先日、大学で東京に住んでいる私は、
久しぶりに実家に帰ったのですが、なんとなく家の雰囲気が違うのです。

気のせいだろうと考えないようにしていたのですが、
実家に帰省して三日後、居間にあの満開の桜の枝にとまる、
一羽の小鳥の掛軸がない事にようやく気づき、母に尋ねると物置に閉まったのだと言いました。

特に私も、「ふ~ん」程度に相槌を打ち、その話題は終わったのですが、
それから数ヶ月が経ち、大学に通うため東京にいた私に母から電話があり、
あの掛け軸を掛軸買取のお店に買い取ってもらおうと考えているのだと電話で話てきました。

電話の母の話では、近所の人が、家の物置にしまっていた掛軸を、
掛軸買取のお店に持って行った所、ビックリするような価格で買い取ってもらったそうです。

母は、来週の休日にでも掛軸買取のお店にあの掛軸を持っていくと私に話ました。
子供の頃、弟と「気持ち悪い絵だね」と言った掛軸は、もしかして我が家に眠る秘宝なのかもしれません。
来週、母から電話がかかってくるのが楽しみです。